「脱毛って、何回通えば終わりますか?」——クリニック時代もサロンでも、カウンセリングで必ず聞かれる質問です。
私は看護師として美容クリニックで医療脱毛の施術を行い、現在は美容サロンを運営しています。たくさんの方の経過を見てきた立場から、先に正直な答えを言うと——
「◯回で終わります」とは、断言できません。そして、断言できないことには理由があります。
現場にいた人間ほど、この質問への答えは慎重になります。それくらい、人によって違うんです。この記事では「なぜ断言できないのか」と、それでも判断の材料になる考え方、回数がかかりやすい部位の傾向をお話しします。広告の「最短◯回!」を信じて契約する前に、ぜひ読んでください。
なぜ1回では終わらないの?——「毛周期」の話
まず前提として、脱毛はどの方式でも1回では終わりません。理由は、毛には生え変わりのサイクル(毛周期)があるからです。
- 肌の表面に見えている毛は、全体の一部だけ。残りは皮膚の下で「お休み中」です
- 脱毛の光やレーザーが効くのは、基本的に今まさに成長中の毛
- だから、周期に合わせて1〜2ヶ月おきくらいで繰り返し照射して、順番に減らしていく必要があります(間隔は方式やお店の方針によって変わります)
「回数がかかる」のは機械の性能の問題ではなく、毛の生えるしくみ上、そうなっているということです。ここを知っておくと、途中で不安になりにくくなります。
世間でよく言われる目安と、現場の正直な感覚
比較サイトや広告では、だいたいこんな数字をよく見かけます。
| 自己処理が楽になる(とされる)目安 | ツルツルを目指す(とされる)目安 | |
|---|---|---|
| 医療脱毛(クリニック) | 5〜8回程度 | 8〜10回以上 |
| サロン脱毛(光) | 8〜12回程度 | 12〜18回以上 |
| 家庭用脱毛器 | 継続数ヶ月〜 | 根気よく続ける前提 |
この表を載せておいて何ですが——現場にいた立場から正直に言うと、この通りにいく人ばかりではありません。目安より早く満足する方もいれば、目安を超えてもまだ通っている方もいます。この表は「契約の判断基準」ではなく、「桁感をつかむための参考」くらいに受け取ってください。
ひとつ確かなのは、1〜2ヶ月おきに通ったとしても回数を重ねる以上、どの方式でも「年単位の計画」になるということ。ここだけは、ほぼ全員に共通します。
それから、サロンの回数が医療より多めなのには、ちゃんと理由があります。サロンの光はレーザーほど出力が強くない分、1回で毛根を仕留めるというより——弱ってきた毛に追い打ちをかけて、もう一度熱を与えていくイメージなんです。回数を重ねるごとに、じわじわ効かせていく方式。だから「サロンは効かない」のではなく、「効かせ方が違う」。ここを知らずに数回でやめてしまうのが、一番もったいないパターンです。
なぜ「◯回で終わる」と断言できないのか
プロが回数を断言しないのは、逃げではなく、こういう理由です。
- 毛質・毛量が人によってまったく違う——同じ部位でも、太い毛が密集している方と、まばらな方では進み方が別物です
- ゴールが人によって違う——「水着を着るとき困らなければいい」と「1本残らずなくしたい」では、必要な回数が倍以上変わることもあります
- ホルモンの影響を受ける——体質やライフステージの変化で、あとから毛が育ってくることがあります
- 通うペースが計画どおりにいかない——日焼け・生理・予定でのキャンセルで間隔があくと、その分ゴールは遠くなります
だから、カウンセリングで「あなたなら◯回で確実に終わります」と断言する店のほうを、むしろ警戒してください。「毛質を見ながら進めましょう」と言ってくれる店のほうが、誠実です。
広告の「最短◯回」を信じすぎないで
ここは現場にいた人間として、はっきり言わせてください。
広告でよく見る「最短5回で完了!」のような表現は、いちばん条件のいい人のケースだと思って読むのが正解です。毛が濃くて太い部位が、少ない回数でしっかり反応することはあります。でも——
- 細い毛・産毛は光が反応しにくく、回数がかかります
- ホルモンバランスの影響を受けやすい部位は、あとから生えてくることもあります
- そもそも白い毛(白髪)には反応しません(これは何回やっても、です)
白髪の話は、40代・50代の方にとってかなり重要なポイントなので、別の記事で詳しく書いています。
回数がかかりやすい部位・早く実感しやすい部位
同じ人でも、部位によって進み方はぜんぜん違います。
早めに実感しやすい部位
- ワキ・ひざ下・腕——毛が太くしっかりしているので、光が反応しやすい代表格です
回数がかかりやすい部位
- 顔(産毛)——細くて色が薄い毛は反応しにくく、根気が必要です
- VIO——毛が太い一方で密度が高く、医療レーザーでも回数がかかる部位です
- 背中・お腹などの産毛エリア——顔と同じく、薄い毛は時間がかかります
VIOについては、痛みのことも含めて体験ベースでまとめた記事があります。
途中でやめるとどうなる?
「数回やって、だいぶ薄くなったからもういいかな」——実はこれ、けっこうもったいないパターンです。
途中でやめると、その時点で「お休み中」だった毛は残っています。しばらくして「あれ、また生えてきた?」と感じるのはこのためです。減った状態で満足ならもちろんOKですが、「終わった」と「途中でやめた」は違う、ということは知っておいてください。
これは家庭用脱毛器でも同じで、「効果がなかった」という声の多くは、実は継続の問題だったりします。
まとめ:回数で選ぶなら、こう考える
| あなたのタイプ | 向いている選択 |
|---|---|
| とにかく早く・少ない回数で終えたい | 医療脱毛(1年〜1年半の計画で) |
| 痛みや費用をおさえつつ進めたい | サロン脱毛(2年前後の計画で) |
| 自分のペースで、通わずやりたい | 家庭用脱毛器(続ける仕組みづくりが鍵) |
どの方式でも共通するのは、脱毛は「回数×毛周期」の積み重ねだということ。焦らず、でも途中でやめず。それが結局いちばんの近道です。
3つの方式の違い(出力・痛み・費用)をまだ整理できていない方は、まずこちらからどうぞ。
▶ 医療・サロン・家庭用、あなたに合うのはどれ?(元看護師が本音で解説)